ジャパンカップ 2006年

第26回 ジャパンカップ 2006年

2006年のジャパンカップで、単勝オッズ1.3倍の断然の1番人気に支持されたのはディープインパクトだった。国内で敗れたのは前年2005年の有馬記念の1度だけ。当時敗れたハーツクライも出走していたが、陣営から喘鳴症の兆候があることが明らかにされて評価を落としていた。ディープインパクトにとっては、負けられないレースだったのである。

ディープインパクトの陣営にとって、負けられない理由がもう一つあった。前走はフランス・凱旋門賞に挑戦。3位に入線したが、レース後に禁止薬物が検出され、失格となる事態に陥った。競馬メディア、ファンそれぞれの間で、大きな議論となったこの事件。汚名を晴らすには、勝利という形で評価を受けるしかない。

そして、ディープインパクトはこのレースで最高の勝ち方で、その強さをアピールすることになる。道中は馬群の一番後ろという位置取りに、場内からも驚きの声が上がる。1000メートル通過は61秒1。コスモバルクがレースを引っ張る形で進んだこのレースは、かなりのスローペースとなっていた。そして4コーナーから直線へ。馬群の一番外を回る。かなりの距離をロスしているが、ディープインパクトにとってはそんな事は全く問題にならなかった。大外から全ての馬を交わして先頭に。明らかに1頭だけ、次元の違う末脚だった。そして当たり前のように、先頭でゴール。そして当たり前のように、鞍上の武豊が手を挙げる。

しかしその当たり前の強さを見せることで、ディープインパクトは一連の騒動を払拭してみせた。このレースの場内実況を担当したラジオNIKKEI・中野雷太アナウンサーの「全てを振り切ってゴールイン」というフレーズが、この勝利を最も的確に言い表していた。日本競馬史に残る名馬でが、再びその輝きを取り戻した瞬間だった。


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